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「この辺りはお茶が有名でしょう。そやからそのお茶のために焼き物も盛んやったんよ。」
しまコトアカデミーというセミナーの、1泊2日の現地実習。
松江の天神町〜寺町〜竪町を散策していた50分ほどの間に、たまたま見つけた、町の酒屋さん。そこでの出会いは、私にとってとてもわくわくするものでした。
どこか誇らしげな、その表情がとてもきらきらしていて。
風にそよそよと揺れる暖簾に誘われて、ぶらりと入ってみた「岡酒店」さん。
入るなり、壁添いの濃いい茶色の木の棚に並んだたくさんの酒瓶と、あったかい笑顔で「いらっしゃいませえ」と出迎えてくれたご夫婦(おそらく笑)。
手作りのポップの感じ。そして、地元の酒蔵のひとたちをうつした写真が、この酒店と蔵元との繋がりを感じさせる。
「ここの右の子はねえ、この蔵で一番若いんやけど、いい腕しているの。」
そんな風に話を聞いていると、「ああぁ、時間が許すならぜひ行って会ってそのお酒を飲んでみたい!」と思ってしまう。
若者が一度に何人もわらわらやってくるのが珍しいのか、「修学旅行かなにか?」「みなさん何処から?」と少し不思議そうにしながらも、カラフルなデザインのおちょこに甘酒をついでふるまってくれた。
「ここにはどんな人たちが買いにくるんですか?」と聞いてみると、ご主人が興味深い話をしてくれた。
「このあたりの町はお茶が有名でしょう。そやからお茶を飲む焼き物とかも盛んでね。おちょこやとっくりなんかもあるんだけど、たまにね、お気に入りのおちょこやとっくりを見つけたお客さんがやってきて、『これに合うお酒をくれ』って買いにくることもあるんですよ。」
「えぇー!!お父さんがソムリエみたいに、器に合わせてお酒を選ぶんですか!」
思わずびっくりして、見た目普通のこのおじちゃんが、そんなすごい技をもっているのか!と興奮して、友達と私の声は一段と大きくなる。
照れ笑いしながらも、「そうですねえ、器のイメージで、これが合うんじゃないかなぁって。」と、話すご主人の目がきらきらしていて。
この場所でのお客さんとのやりとりが好きなんやなぁと伝わってくる。
たかが一つの◯◯。
たかが一つのお酒。
たかが数分、数十分の、一人のお客さんとの会話。
たかが一つのお酒。
たかがひとつの酒屋さんでの一つの買い物。
それでも、この場所で、このご主人からお酒を購入したお客さんは、きっとお気に入りのおちょこととっくりを使うたびに、その時間を思い出すんだろうな。
きっとわたしがそのお客さんだったら、「次はどんなおちょこに合わせてもらおう?」と、ワクワクするんだろうな。
ほんの少し立ち寄って、甘酒をいただきながら立ち話をしただけだったけれど、たまたま入ったこのお店でお二人に出会ったことは、1泊2日の中でもトップクラスに印象的なものでした。
このご主人のソムリエ話をだれかにしゃべりたくてしゃべりたくて、伝えたくて伝えたくて、帰宅してすぐに言ってしまいました。笑
それにしても、20〜30代の集団を見て「修学旅行」と言ってくれるなんて!
きっと私たちもそれくらい興味津々アンテナをはって無邪気な感じやったんかなあ。
モノやコトにひとつひとつ繋がっているストーリー。
ただただ消費するだけでは見落としてしまいがちなそういったものを、大切にしたいと思う。
次はお手製のおちょこととっくりを持って、このお店に戻ってこよう。
みじんこの発信日記そのいち in しまね
おしまい。